ご挨拶

京都大学経済研究所は、1962年に創立されて以来、理論経済学、応用経済学ならびに計量経済学の分野で国際的な研究成果をあげ、わが国の経済学の発展において先導的な役割を果たしてきました。そういった先端的な経済理論を主たる研究テーマとしてきた一方、現実の社会経済の要請に答えるべく様々な政策課題の研究も行っています。そうした取組みにより、本研究所は、発足当初より国内外から多くの研究者が集まって共同研究を行う経済学の国際的研究拠点の一つとして広く認知され、国内はもちろん国際的にも研究者コミュニティから高い評価を受けてきました。また、若手の研究者を積極的に採用し、共同研究を通じて次代を担う経済学研究者の教育や育成にも貢献しています。

こうした本研究所の研究・教育活動が評価され、平成22年度に文部科学大臣より共同利用・共同研究拠点「先端経済理論の国際的共同研究拠点」の認定を受けました。その間の成果が高く評価され、平成28年には拠点として再認定を受けて第2期がスタートし、現在に至ります。拠点では、特にマクロ経済動学・空間経済学を含む「複雑系経済学」 とゲーム理論・組織の経済学等の「経済戦略と組織」の2つの先端経済理論領域の研究に注力しています。当拠点のミッションは、本研究所の研究設備や資料・データ等を国内外の多くの研究者の共同利用に供して共同研究を行い、それを通じて国際的な経済学研究の発展に寄与することです。それを達成するために、主たる拠点事業として、公募による外部の研究者との共同研究プロジェクトを行っています。

経済研究所所長 教授 西山慶彦

公募の研究テーマに関しては二つの枠を設けており、ひとつは折々の経済諸問題を扱うメイン研究テーマ、もうひとつはより基礎研究に近い一般研究テーマです。これまで国内外の多くの研究者からご応募を頂き、共同利用・共同研究拠点運営委員会の選考過程を経て、平成22年度から27年度の第1期の6年間にメインテーマ研究課題18件、一般研究課題36件が採択されました。また、平成28年からの第2期に入ってからは、令和2年度までの5年間でメインテーマ課題研究11件、一般研究課題62件が採択されています。これらの公募型共同研究プロジェクトにより、多数の革新的な研究成果が生み出されており、このような研究の推進と並行して、拠点では研究成果やその応用領域に関連する国際コンファレンス・シンポジウムを開催し、広く研究成果の発信を行っています。

拠点では、その機能強化のための予算措置により、先端政策分析研究センターが設置されて中央官庁から人材を受け入れて政策研究を行っており、また「エビデンスベース社会の構築に向けた人文社会科学の学際融合・最先端研究人材養成事業―ニーズからシーズへー」事業が推進されており、政策に直接関わる研究の中心を担ってそれぞれ独創的な成果を得ています。 本拠点は当面令和3年度末まで活動を行います。あと2年間、拠点事業の更なる充実、発展をはかり、学術コミュニティの公共財としての役割を一層推進していく所存です。皆様の多大なご支援とご協力をお願い申し上げます

2020年4月


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